私たちの食生活は「自然の恵み」と「人の知恵」という2つの柱に支えられています。
食品生産科学科では、本学の水圏科学フィールド教育研究センターを活用し、まず1年次に「自然」の中で食を体験。
さらに3年次には、食の「知恵」を体感するためのプログラムを組んでいます。
この2つの実習によって、ふだん何気なく口にしている食品が食卓にあがるまでのさまざまなプロセスを、
自分の経験として理解することができます。
将来、専門分野のプロとして大きく羽ばたくためにも、非常に意義深い体験学習だと考えています。
Practice
実習■1年次
毎年7月に4泊5日で実施しています。食が本来「生き物」であること、またその大切さを学びます。
さらにクルージングや魚の加工体験を通して、水環境と生命体の性質および水産物の特性を理解します。
●魚を育てる、捕まえる、料理する
実習場で養殖しているニジマスに、自分の手で毎日餌を与えます。さらに素手で捕まえて料理します。
ニジマスの命をいただくことで、自然への感謝とすべての命を支える地球環境の大切さに改めて目を向けていきます。
逃げるニジマスを素手で捕まえます。
食品ではなく「ひとつの命」だと感じる瞬間。夕食は自分で育てたニジマスを食べます。
人間も生態系の一員であると実感します。
●魚を解剖する、精巣から遺伝子をとりだす
ニジマスを「食品」ではなく「生き物」という視点で理解するため、解剖を行い精巣からDNAを抽出します。
ここでの実験は、今後の学習における各種生物実験の基礎体験として位置づけています。
魚も私たちと同じ生き物ということを
解剖を通して実感します。DNA抽出に成功!知識としては知っていても、
本物はやはり感慨があります。
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●魚を解剖する、精巣から遺伝子をとりだす
環境問題に対する視野を広げ、環境保全の意識を高めるために、魚の育つ環境の水質を調べます。
こうした調査の実体験は、食品製造工場の周辺環境への配慮などにつながる大変重要な学習です。大泉ステーションでニジマスを育てている水と、
池の下流に流れる水の水質をチェックします。 -
●魚を解剖する、精巣から遺伝子をとりだす
食を扱うということは、命を扱うことでもあります。
そこで今回の実習では、ニジマスの健康状態も調べます。
元気に大きく育てるためには、餌を与えるだけでなく病気を未然に防ぐことも大切です。ニジマスに麻酔をかけてしっかり診断します。
●ニジマス燻製製造
食品製造の学習の一環としてニジマスの燻製作りに挑戦し、おいしさを作り届ける心構えなどを体験します。
ニジマスを一尾一尾丁寧に塩もみします。
燻煙装置で数時間かけて燻煙。完成間近です。
実習■3年次
3年次になると、6泊7日の実習で本格的な食品製造を体験します。毎年7月、静岡県の水圏科学フィールド教育研究センター吉田ステーションの実習用食品工場を使い、授業で身につけた高度な知識や技術を現場で実際に生かす有意義な一週間です。
また、リーダーシップを養う目的で、実習中に参加者全員が現場責任者である学生主任の仕事に就くことになっています。
製造計画、製造ラインの組み立て、スタッフへの指示などを通し、集団を効率的に機能させる計画能力や指導能力などを身につけます。
●プロの製造業者も見学に来る伝統の技、鰹節製
かつおの生切り(3枚おろし)。
「きれいにおろさないと節にならないよ。」とプロからのアドバイス。煮篭に並んだ雄節と雌節。
まず一度煮て「なまり節」を作ります。薪を焚いて数日間かけてゆっくり燻します。
すっかり燻された節。荒節です。
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●東京海洋大学名産、ツナ缶詰の製造
二人がかりでまぐろの解体。
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●レトルトパックカレーの製造
蒸気二重釜で前調理。200食分の玉ねぎを炒めます。
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100%まぐろ。植物油と塩だけです。
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材料ををきっちり計量します。
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大きなレトルト(高圧釜)で一気に加熱殺菌。
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真空脱気密封されたパウチ(袋)をレトルト(高圧釜)で加熱殺菌。
●人気のチーズかまぼこ製造
歯ごたえを決める擂潰(らいかい)。
最も気を使う工程です。規格をチェックします。