Food Science and Technology:Curriculum:Experiment 実験

食の世界には、実験でしか学べないさまざまな知識やノウハウがあります。
食品生産科学科では、充実した実験教育プログラムに沿って、基礎から専門的な実験へと段階的に指導を行います。
また技術面だけでなく「実験する視点」「結果を評価しまとめる力」を身につけていきます。

Experiment

実験■1年次

食品生産科学科では、1年次・2年次はひとつの分野に偏ることなく全学共通の総合科目を中心としたカリキュラムを組んでいます。

●食品生産科学科入門実験

食品原料の特性や加工原理・加工方法・取扱いなどについて理解する目的で、実際に食品を製造します。
【製造する食品】
1.真空凍結乾燥食品、2.レトルト食品、3.冷凍食品、4.水産練り製品、5.マヨネーズ・ドレッシング類、6.大豆製品(豆腐)

実験■2年次

化学、物理学、微生物学の各分野における基礎的な実験を行います。
授業で学んだ知識を自分で実際に確かめていくことが、より専門的な学習に進むための土台になります。

●化学実験

化学実験に必要な基礎知識と測定・分析などの基本的なテクニックを身につけ、さらに実験レポートの書き方を習得します。
個人または少人数のグループに分かれ、まず実験器具や装置について学んだ後、基礎的な容量分析・重量分析・有機定性分析などの実験を行います。
食品原料の特性や加工原理・加工方法・取扱いなどについて理解する目的で、実際に食品を製造します。
【製造する食品】
1.真空凍結乾燥食品、2.レトルト食品、3.冷凍食品、4.水産練り製品、5.マヨネーズ・ドレッシング類、6.大豆製品(豆腐)

●物理学実験

物理学、生産物理学、食品工学で学んだ物理の基本的な原理を、実験を通して理解します。また実験装置の基本的な操作法などの習熟をめざします。
学生は、テーマごとに少人数のグループに分かれ実験を行います。
【主な実験項目】 
・単振り子 ・水時計 ・ベルヌーイの定理 ・熱拡散率の測定 ・凝固点降下 ・吸着平衡 など

●微生物学実験

微生物取り扱いの基本的な知識・技術を学び、微生物学の基礎修得をめざします。食品からの培養を計数・分離法、種類の判別法、さらに遺伝子操作などの基本実験を行います。
【主な実験項目】
・微生物の無菌操作法 ・培地の作り方 ・器具の滅菌法 ・微生物計数法(平板混和法) ・純粋分離法(画線)
・細菌属の同定法(グラム染色、生理的性状試験) など

実験■3年次

実験の名称がそれぞれ「食品化学」「食品微生物学」「食品工学」に変わり、さらに専門的な視点で実験に臨みます。

●微生物学実験

2年次までの化学実験をベースに、3年次からはいよいよ本格的な食品化学への取り組みを始めます。
実験では、食品の分析に必要な手法の基本を徹底的に学び、さまざまな分析手法の基礎を修得することをめざします。
【主な実験項目】
・水分、灰分、脂質の定量 ・粗タンパク質の定量 ・塩分の定量 ・酵素法による乳酸の定量 ・ビタミンE同族体の分析 
・亜硝酸ナトリウムの定量

●微生物学実験

微生物学実験履修者を対象に、食中毒菌や大腸菌の食品からの培養・分離法(選択培養から種判別まで)について学びます。食研究の現場で一般的に用いられている培養法はもとより、急速に普及しつつある遺伝子手法(PCR法)、DNAフィンガープリンティングなど)も取り入れ、食品微生物の基礎技法を習得します。
【主な実験項目】
・食品からの食中毒菌の分離検出法 ・培養液(サルモネラ、指標菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオなどの標準法) ・食中毒菌の遺伝子を標的としたPCR検出法 ・DNA塩基配列やフィンガープリント法による株分別、汚染源調査法 ・食品中での微生物制御に関する基礎実験(加熱殺菌、PHや温度と微生物増殖、微生物増殖と食品包装、保存料、賞味期限) など

●微生物学実験

水、タンパク質、脂質に関する化学的基礎知識の習得および食品のレオロジー的性質や味を理解することをめざします。また食品の製造、貯蔵品質、安全に関する化学的・工学的知識を得るための実験も行います。
【主な実験項目】
・水分活性 ・魚肉の揮発性塩基窒素と鮮度測定 ・脂質の特性と誘導体化 ・合成抗酸化剤の同定 ・魚肉タンパク質の加工特性
・魚種の判別 ・抗原抗体反応 ・呈味の官能検査 ・NMR法を用いた成分の同定 ・濃厚液体の粘性 ・すり身ゲルの粘弾性

●微生物学実験

温度、圧力、流量などの物理的諸量の測定方法と、測定装置の操作方法の習熟をめざします。また食品製造の基本操作である凍結・加熱・乾燥・分離・制御などの操作を実習する中で、それらの原理と取り扱い方法に精通するよう指導を行います。
【主な実験項目】
・自然対流熱伝達の実験 ・圧縮機の性能実験 ・マイクロ波加熱 ・干渉沈降 ・NMRイメージングによる水分分布測定
・シーケンス制御 ・食品の熱分析 ・食品の乾燥 ・食品の冷却速度 など

実験■4年次

4年次は、各自が研究室を選択します。その研究室でさらに高度で専門的な実験に参加し、1年かけてじっくりと卒業論文のための研究に取り組みます。