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ペンギンさん そこのけ そこのけ 海鷹丸が通る! 〜東京海洋大学 南極海観測日誌〜
私が初めて南極海の観測に出かけたのは今から9年前です。この間,海鷹丸は7回の航海を行い,私は6回参加しています。日本で,南極というと昭和基地を思い浮かべる人は多いでしょう。また,南極観測船「しらせ」を知っているひともいるでしょう。タロ,ジロの話も映画になりました。しかし,現実には日本南極地域観測隊の活動が今でも続いていることを知らない人もおり,まして東京海洋大学研究練習船「海鷹丸」が,これだけの頻度で南極海の観測を行っていることを知っている日本人はほとんどいないといって過言ではありません。
私は海鷹丸で南極海にはじめて来て,その極端に寒冷な環境に生息する魚類の研究に手を染めた当初,ふつうの研究者にはできない研究をしているという,満足感がありました。しかし,数回の観測に参加し様々な分野の研究者に出会っていくうちに,南極海の研究がひじょうに大切な意味をもっているにも関わらず,十分な研究・観測体制が日本にないことが不思議になってきました。もっと不思議なことには,海鷹丸を有する東京海洋大学にも満足な体制が整っているとは到底いえないことでした。とはいうものの,現場の研究者はまさに命がけで観測を行い,その成果を海外に向けて発信しつづけ,Umitaka Maruの名は,世界の研究者の間では徐々に知られるようになってきました。しかし,私はなぜか,この状況は不味いと思いました。今や国内の研究者のみならず,世界から海鷹丸の南極海での活動が注目され期待されるようになってきているのに,当の日本に,その「体制」が十分整っていないのです。海鷹丸は「専攻科教育」というもうひとつの大きな使命をもっており,さらに,南極以外の海域の観測も大きな意義があるわけですから,南極ばかり行くべき船ではありません。個人的には,専攻科教育と海洋観測航海は十分に両立できるものと確信していますが,ここでその議論はやめておきます。しかし,日本における南極海観測の現状や地球規模の極端な気候変化の問題を考えたとき,日本と海鷹丸の役割は大きいと言わざるを得ません。
その「体制」の基盤作りのための第一歩は,我々の活動を多くの国民に知ってもらうことだと思っています。海鷹丸の活動を知ってもらい,研究者が何を考え調べているのか,そして南極でいま起こっていることに興味を持ってもらうことが,体制整備の第一歩かもしれない,そのように考えるようになって来ました。私がこの観測日誌を書くことを思いついた背景には,そのような考えがありましたが,一日一回わずかな報告を読んでもらうだけで,上に述べたような崇高な目的が達成できるわけがありません。毎日毎日文章を書いた後,さらに何度も読み直し,書き換えて日本に送っていました。どうしたら一人でも多くのひとに興味を持ってもらえるか。海鷹丸を知ってもらい,日本から遠い南極海に興味を持ってもらえるのか。そんなことを私なりに考え,昨年成田を出国した日から,今日また成田に帰ってくるまで,一日も欠かさずしつこくつづってきました。ひとつの目標であった「南極観測のライブ感」(12月23日)は,とにかく毎日送ることが前提ではないかと思ったからです。
いったいどれくらいの方にこの拙文を読んでいただけたのかは知る由もありませんが,乗組員や研究者の家族が楽しみしてくださっているとの言葉を乗船中に聞き,書き続ける励みとしてきました。また,船内にも毎日掲示していたので,楽しみにしてくださっている人もいました。だとすれば,「崇高な目標」はともかくとして,これを書いた目的はある程度達成できたのではと勝手に思っています。成田エキスプレスからみる田園風景(写真)は寒々しいですが,外国から帰ってきたときいつも,私はこの風景をみて,帰国したこと,そしてその季節を確認します。
成田の気温は−1℃です。まるで南極にいるようです。私から送られてくる原稿を,長い間毎日,年末年始もなく,大学ホームページにアップしてくださった内田先生,そして読者の皆さま,観測の合間にこれを書くことを放置してくださった乗船研究者の皆さま,専攻科学生33名,海鷹丸の士官・乗組員のみなさん,URLを新聞と番組ホームページで紹介してくださった神奈川新聞の中馬さんとFMヨコハマの船橋さん,皆さま,お付き合いいただきありがとうございます。今後とも海鷹丸を,東京海洋大学をよろしくお願いします。では,また,どこかでお会いしましょう。
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2012年2月5日(日)
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