東京海洋大学
マリンサイエンスミュージアム
Museum of Marine Science, Tokyo University of Marine Science and Technology
鯨ギャラリー

展示解説:コククジラ Western Gray Whale    

  コククジラ

コククジラはヒゲクジラ亜目コククジラ科の唯一種であり、現生種は北太平洋のみに生息します。体長は、雄13m、雌14mに達し、最長寿命は70歳程度と推定されます。ハクジラ類も含め、最も沿岸性の強い種の一つであり、冬季には低緯度海域に繁殖回遊、夏季には高緯度海域へ索餌回遊します。北太平洋の東西に明瞭に分離した二系群が認められ、北米側のカルフォルニア系群(東系群)は冬季にバハ・カリフォルニアで繁殖し、夏季にはベーリング 海チュクチ海へ索餌回遊をします。

 かつては甚だしく資源が減少しましたが、現在ではほぼ満限状態の26,300頭(95%信頼区間:21,900-32,400)にまで回復しています。一方、アジア側に生息するアジア系群(西系群)は冬季に中国海南島周辺で繁殖、夏季にはオホーツク海に索餌回遊し、日本周辺には索餌回遊、繁殖回遊の途上にごく稀に出現します。 資源量は僅か121頭(95%信頼区間:112-130)であり、全鯨種89種のなかでは最も絶滅の危機に瀕する鯨種系群のひとつです。

コククジラ分布図

 展示個体は、2005年7月15日に宮城県女川町江島沖(38°23'19"N-141°36'35"E) の 大型定置に混獲された親子連れの母鯨で、体長は12.79m、記録上では戦後我が国周辺に出現した最大の個体であり、現在国内に所蔵されているその他のアジア系コククジラ骨格(全身骨格はいずれも未成熟)を大きく上回っています。水産庁及び宮城県の要請により、混獲当初よりその稀少性に鑑み本学と(財)日本鯨類研究所が学術調査にあたり、本学が農林水産大臣への届け出を経て2頭の所持許可を取得しました。本系群の分布海域周辺国にあたる中国、韓国、ロシアにはコククジラの成体全身骨格標本は無く、米国には1912年に韓半島蔚山で採集された12m程度の雄成体骨格二個体が保存されているほかは成体全身骨格の存在は確認できません。したがって、現在では唯一のアジア系コククジラ雌成体骨格標本と認識されます。同時に採集された仔鯨(体長7.75m、雌)の骨格は2009年11月の学術調査終了に伴い宮城県石巻市へ所持変更され、同市鮎川浜の牡鹿ホエールランドに展示されています。

混獲位置

調査前のコククジラ親子

口絵:鯨ギャラリー内 コククジラ全身骨格 マリンサイエンスミュージアム 蔵
挿絵 (top):コククジラ模型 (監修:加藤秀弘 製作:西尾製作所)
挿絵(middle):コククジラの分布域と系群分布範囲、青は索餌海域、赤は繁殖海域を示す
         (Kato,2007)
挿絵(bottom):展示個体の混獲位置、展示個体調査前の写真((財)日本鯨類研究所撮影)

 

 

 

 

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