海鷹丸 第50次航海 東京海洋大学  海洋科学部

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ちょっと運がいいだけなのに、「オレ(幸運を?)持ってる」とか「神ってる」と か言いたがるスポーツ選手とか監督がいますが、わたしはそのような浅はかなことは言いません。謙虚に自然に感謝するのみです。

 この航海は私の経験した9回の南極航海のうち、最も海況に恵まれているもののひとつです。海況がよいと観測が比較的予定通り進むうえ、機器のトラプルも起こりにくくなります。予定通り進めば、大きな変更もそれほど必要なくなり、調査グループ間の調整の必要性も減るので、首席の仕事は楽になります。海が穏やかだと燃料の消費量も減り、心配ごとも減ります。皆の表情も明るくなり、ア○ロン(酔い止め、特定第二類医薬品)の消費量も減ります。いろいろ減ります。このまま行くとは思っていませんが、少しでも続くとよいです。

 今朝4時からThe Operation Round-the-Clockがスタートしています。日本語にすると「神ってるぞ海鷹丸 24時間観測大作戦!」といったところです。各種センサーとセジメントトラップ(沈降粒子捕捉装置)を装着した漂流系を24時間流し、その間に漂流系の周辺の生物や物理環境の24時間変化を捉えようという野心的な作戦です。プランクトンネットが3種類、音響観測機器にCTD(採水器付)、これらの観測を、流している漂流系のそばで繰り返し行います。実際には前後含めて31時間観測です。これを書いている時点でようやく12時間過ぎたところです。あと19時間ビールが呑めないということです。

 写真は、ずらーっと並んだ各種センサー類です。研究室で、漂流系に取り付ける準備をしています。これらをすべて合わせると、ポルシェ1台分くらいの額になるでしょうか。ポルシェを冷たい海に24時間流します。それにしても、研究者はどこからポルシェを買う資金を調達するのでしょうか。大学に所属する者としては言いにくいですが、昨今の大学はあまりお金を出してくれません注1)。お金のかかる研究を遂行するためには、競争的研究資金や外部資金なるものを獲得しなくては、とてもポルシェは買えません。今回のポルシェも複数の研究者が資金をかき集めて購入したものです。お金をあまり持っていない人は、私は左の扉だけとか、右の前輪は私の科研費でとか、といった具合。たくさんお金を獲ったひとは、じゃあ私がエンジンを、といった感じです。また、あるときは、うちの倉庫に古いポルシェがあるけど、それをベースに改造してみる?といったこともあります。

 代表的な競争的資金に科学研究費補助金(通称、科研費)があります。年に1度、10月の終わりに応募の機会があり、研究者のほとんどが、研究代表者や分担者といった形で、科研費を争ってプロポーザルを作成します。競争なのでよく知ったあの研究者も自分のライバルになるかもしれません。そのため、山の紅葉が赤く色づくころ、研究者の目は寝不足やライバルに対する疑心暗鬼でギラつきます注2)。

注1) あくまでも一般論です。わたしの場合は大学にはたいへんお世話になっています。そりゃあ、もう。品川に足を向けて眠れませんよ。だんな。今後ともひとつよろしくお願いします。ええ、そりゃあ、もう。

注2) 南極海の生態系研究に特化している限り、そんなことはありません。南極に手を出す研究者はあまり多くないので、良かれ悪しかれライバルが少ないのです。だからといって通りやすいわけではないので、プロポーザル作成のため秋口に忙しくなるのはみな同じです。我々の場合お互い共闘して、プロポーザルの内容がかぶらないように相談することもあります。
2017年1月17日(火)

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