海鷹丸 第50次航海 東京海洋大学  海洋科学部

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「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月13日
「弱アルカリな世界を」

 フリマントルを出港して14日目、ちょうど折り返し点です。べた凪、快晴、波高1.2 m、風速2.6 m/s。

 クリオネという生物がいます。オホーツク海などで流氷とともにやってくるので、流氷の天使などと呼ばれるあれです。かれらは広く翼足類と呼ばれるグループで、翼足類は南極海でもみられます。化石燃料の消費などによって増加した大気中の二酸化炭素の影響は、温暖化を通して様々な形で現れていますが、海洋の酸性化も近年注目されるようになりました。増加した大気中の二酸化炭素が海面で吸収され、もともと弱アルカリ性の海水が酸性に傾くことが懸念されています。翼足類の中には炭酸カルシウムの殻を持つものがおり、南極海のリマシナもそのひとつです。リマシナちゃんはクリオネと同じように体の横についた翼状の足を用いてパタパタと泳ぎ回ります。色が黒いので天使とまで言いませんが、動きがちょっとかわいいので学生や乗組員に人気があります。

 オーストラリアチームのひとりChristineは、この翼足類を研究ターゲットのひとつとし、船上での飼育実験を行っています。もし、酸性化が進行すると炭酸カルシウムの殻の成育が阻害される懸念がありますが、その生活史や生態、生態系における役割など不明な点も多くあります。このリマシナは比較的高密度で高緯度域に分布していますが、大型ネットで採集するとたいてい殻が壊れてしまい、飼育実験に用いるのは困難です。飼育実験用の生物を採集するために、採集物のダメージを比較的小さくするための工夫をしたネット使っていますが、やはりランダムに網を曳いてもそう都合よく元気なリマシナが採集されるとは限りません。元気なリマシナを採集するのに最もよい方法は、舷側でタモ網を使ってすくうことです。CTD観測を行うときなど、船尾のプロペラや船首のスラスタを用いて船の位置を保持しますが、そのプロペラの水流で海面からやや下の方に生息しているリマシナが巻き上げられてくることがあります。このリマシナを金魚すくいよろしくタモですくい取ります。根気よく採集すると短時間で何個体も採集することができ、ダメージも小さいです。きょうは20個体採れました。近年、数百万円以上もする機械仕掛けのネットが普通に使われるようになってきましたが、目的に合わせてネットの種類を使い分けることが重要です。きょうのタモ網はよい仕事をしました。

 海洋酸性化がリマシナちゃんの暮らしや生態系に及ぼす影響は、まだ明確ではありませんが、我々の化石燃料の使用が、リマシナちゃんの平和な暮らしを徐々におびやかすかもしれません。

(写真:リマシナちゃんの採集に真剣です。大人なのに。)
2017年1月13日(金)

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