海鷹丸 第50次航海 東京海洋大学  海洋科学部

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海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月13日(金)
正午位置: 63゜41.28´S 107゜00.04´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: SW 2.6 m/sec 、
波高: 1.0 m、 気温:2.7℃、水温:1.9℃
針路:Var. 速力:Var.
船内時間:UTC+08h00m

 今日も調査海域は風弱く海上は穏やかな日が続いています。昨日、氷縁での観測を終え、少しずつ北上をしながら観測点を移動しています。周囲には相変わらず多数の氷山が存在しています。

 気温は低いですが、やっと0度を上回るようになりました。これはデッキ作業をする人達にとって大変助かります。これまで全員の協力で事故・怪我なく観測は進んでいますので、今後も安全運航、安全作業第一で観測調査を続けていきます。
2017年1月13日(金)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月12日
「海氷、オキアミ、ペンギン、ビール」

 朝4時から海氷の採取のため、さらに氷縁に近づきます。今朝の日の出は2時半。4時でも辺りはすっかり明るいです。海は誰が見てもべた凪です。海鷹丸は砕氷船ではないので、「デッド・スロー・アヘッド」死ぬほどゆっくり進みます。海氷の役割のひとつを昨日書きましたが、他にペンギンやアザラシの休み場所として重要な役割があります。ホッキョクグマ(シロクマ)にとっても生活基盤のひとつですし、コウテイペンギンにいたっては海氷上で繁殖します。みな海氷がないと困ります。写真は、のんびり海氷上でくつろいでいたのに巨大な白い船に気づいて慌てているアデリーペンギンの図です。見るべきところはかわいい後姿と残された足元のうんちです。赤いのはオキアミの色です。ナンキョクオキアミかコオリオキアミでしょうか。アデリーペンギンにとってオキアミ類は重要な餌のひとつなんですね。

 このペンギンさんたちが乗っている氷は氷縁からバラけて流れ出たものですが、すぐ近くには氷が密集した海氷域が南側に広がっており、そこへは砕氷船でないと入れません。各国の調査チームはこの海氷域に注目し、砕氷船を入れて大規模な観測を行うこともあります。また、無人潜水機による観測技術も徐々に使われるようになってきたようです。このような観測により、これまで考えられていた以上に、海氷下にはナンキョクオキアミを初めとした豊かな生物相が育まれていることが分かってきました。今回我々は、漂流系(ドリフター)を用いて海氷域の観測を試みています。

南極観測船「しらせ」で、12月9日まだ海氷の残る海域に設置したドリフターを、このあと数日後に海鷹丸で回収します。このドリフターのトップにはGPSブイがあり、位置情報が常に得られるようになっています。ブイの下方40 m付近には沈降粒子捕捉装置(セジメントトラップ)がつなげられています。この回収に成功すると、この1ヶ月の間に海氷下あるいは海氷の近傍で、どのような沈降粒子(いわゆるマリンスノー)がどれくらい海中に放出されているのかを把握することができます。これにより、氷がどんどん融けていく初夏の海氷域における、生物の暮らしの一端を垣間見ることができ、生態系における海氷の役割について理解が深まるはずです。

 きのうも、気候変動がどうのと書いたばかりですが、取り急ぎ、このペンギンさんたちのご飯(オキアミ)とベッド(海氷)を健全な状態に保つにはどうすべきか考えてみませんか。今夜あたり。ビールでもやりながら。観測が終わったらね。
2017年1月12日(木)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月12日(木)
正午位置: 64゜51.30´S 108゜34.72´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: W 3.5 m/sec 、
波高: 1.2 m、 気温:-1.1℃、水温:0.7℃
針路:305° 速力:9.8Kt
船内時間:UTC+08h00m

 現在、係留系(物理系)回収の為、次の観測点へ向け航行中です。昨日から始まった110°ラインの氷縁での観測は本日の早朝にアイスサンプリングを実施し終了、氷縁を離脱しました。

 また離脱前にNHKクルーによってドローンを使用した上空からの撮影を行いました。昨晩から風が弱く海上も大変穏やかで最高の条件の中、本航海最南端での調査、撮影が行われました。

 ペンギンやユキドリなどの珍しい鳥類たちも何度か出現し学生を喜ばせています。
2017年1月12日(木)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月11日
「今年もお邪魔しています」

 昨日から、ザトウクジラやアデリーペンギンが船の周囲に現れます。毎年この時期になると現れる白い船を見物することが彼らの恒例になっています。南緯65度17分、東経110度で観測をしています。遠くに氷縁が見えます。氷縁は海氷(海が凍ってできた氷)が密集して分布する最も北側のラインです。ここでの観測が終了したあと、さらに2マイル南にシフトし氷縁付近で海氷を採取しますが、この観測点がKARE20での最南点となります。氷縁の位置は衛星から送られる情報によってかなり正確に知ることができますが、分布状況は風によって刻々と変化するのでどこまで南に行けるかは現場まで行かないと分かりません。そして実際に、観測中も氷縁が移動しています。

 南極海の生態系研究者はこの氷縁を重視します。氷縁付近では春から夏の海氷融解期に植物プランクトンの大増殖(氷縁ブルームといいます)が起こることがあります。その仕組みについては、まだはっきりとは分かっていませんが、いくつかの条件が必要なようです。まず、海氷が融けるなどして海中に光が届くようになる;植物プランクトンの増殖に必須の元素である「鉄」の供給があること(どこから来るのか諸説あり);増殖した植物がある程度表層付近に滞留することなどです。このブルームが起こると、これを起点とした食物網・生物活動が活発化します。もう少し噛み砕いていうと、いろんな生物が食物網を介して氷縁ブルームの恩恵を受けるということです。増殖した植物を食べる動物プランクトンが成長・増殖し、それを食べる魚類や鯨類、海鳥も集まります。

 もちろん我々も氷縁に注目しており、明朝氷縁で海氷を採取します。海氷中には様々な微小な植物や動物、原生動物などが高密度で含まれています。彼らは氷の中を生活基盤として暮らしているのです。とんでもない生活環境のようにも思われますが、よいこともあります。植物にとっては、氷の中に入れば常に海面の光の豊富な場所に居続けることができ、光合成し放題です。動物にとって、氷の中は捕食者から身
を隠すのに格好かもしれません。さらに、同じ空間で餌の植物が増え続けるわけです。寝ていてもご飯が次々提供されるようなものです。しかし、そんな極楽生活は長くは続きません。春から夏にかけて氷が融解すると彼らは海の中に放り出されてしまいます。彼らの運命やいかに!です。

 南極海は、冬季にはひじょうに大きな面積が海氷に覆われますが、夏にはその大部分が融けて無くなります。季節的に氷に覆われる海域を季節海氷域といいますが、この面積は膨大です。したがって、海に放出される海氷中の微小生物群集の量も膨大になっているはずです。放出された微小生物はすぐ表層で誰かに食べられるかもしれません。あるいは粒子として沈んで、表層で合成された有機物を深海生物にもたらす役割を持っているとも考えられます。海氷微生物群集は、南極海の季節海氷域の生態系を考える上で避けて通れない重要な要素となっています。気候変動で海氷が減ったり増えたりすれば、季節海氷域の生態系が大きく影響を受けることが想定されます。
(写真:ザトウクジラ。船の周りでじゃれあうのを見せつけています。)
2017年1月11日(水)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月11日(水)
正午位置: 65゜16.98´S 109゜59.86´E(南大洋)
天候: 晴れ、 風: ESE 7.6 m/sec 、
波高: 2.0 m、 気温:-0.7℃、水温:-0.2℃
針路:Var. 速力:Var. (観測中)
船内時間:UTC+08h00m

 昨日は午後から海況が回復し、変更した定点での観測を再開しました。周囲をたくさんの氷山で囲まれた中での観測でしたが、多数のクジラを観察することが出来、特に数頭のザトウクジラは何度も本船の舷側に近づき我々を楽しませてくれました。毎年この場所に戻ってくる海鷹丸を歓迎しているようでした。

 そして今朝ついに氷縁にたどり着きました。予想の位置よりさらに南にあり到着が遅れましたが、海上は穏やかで天気も良く、現在前方に綺麗な氷原が広がっています。ここでは基本観測の他、様々な観測が予定されています。今朝、氷縁近くを航行している本船の横を多数のアデリーペンギンが、しばらく泳ぎながら並走し離れていきました。
2017年1月11日(水)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月10日
「粋な計らい」

 朝6時観測開始、の予定でしたが波高6m、風速15 m/s、で観測不可能。昨日から海況がやや悪化していましたが、気圧配置等から察するに快方に向かっていると楽観していました。昨夜、呑み残してテーブルにおいてあった缶ビールが、寝ていたソファーに飛んできたので「おかしいな」と、未明2時ごろひとり濡れた毛布を乾かしたりしながら考えていたのですが、夢ではありませんでした。大時化です。

やむなくXCTD(使い捨て式 塩分・水温・深度プロファイラー)のみの観測メニューに変更して南に向かいます。急きょ、オペレーション会議を招集して今後の対応について協議→観測点の位置や内容の変更が決定→船長と研究者に連絡→お昼ごはん(温かいてんぷらそば)。という午前中の流れとなっています。何もしなくてもおなかは空きます。
 
昨日は成人の日。本船の機関部に、ことし成人を迎えた上塩入さんがいます。夜は観測が無かったので恭しく成人式が執り行われました。研究者代表として私、極地研を代表して真壁さん、海洋システム観測研究センター嶋田さんからご祝辞をいただき、その後記念品の贈呈が佐藤さん(海洋システム観測研究センター)から行われました。

それぞれが「わたしが20歳のころ」というテーマで思い出を語るとともに青年に訓示をたれました(写真は嶋田さん)。迷惑ですね。記念品(日本酒)で乾杯し、空にしたことは言うまでもありません。南極海での成人式、顔が怖いのにやさしい、賄い(コックさん)の大井さんの粋な計らいでした。
2017年1月10日(火)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月10日(火)
正午位置: 63゜53.32´S 109゜59.48´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: ESE 13.0 m/sec 、
波高: 4.6 m、 気温:-0.7℃、水温:0.9℃
針路:180° 速力:10.4Kt
船内時間:UTC+08h00m
 
 昨日午後から南東の風が強まり海上は大時化となり本日朝の観測を断念しました。現在、観測点と観測項目を変更し海況の回復を待ちながら、110度ラインの南下を続けています。

 気圧は昨晩から上昇し続けており天候の回復を期待していましたが、今朝まで風がまったく弱まりませんでした。本日昼前には風が多少弱まってきましたので、今後、風や波浪の状態を見て観測を再開する予定です。
2017年1月10日(火)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月9日
1月9日『朝の連続ドラマ小説「Tobitateペンギンさん!」ロケ現場』

 数羽のマダラフルマカモメが船の周りを飛んだり飛ばされたりしています。風速12m/sの南極海。南極大陸で繁殖する数少ない飛翔性海鳥類です。鳥はたいてい「飛翔性」ですが、南極には「非飛翔性海鳥類」ペンギンさんがいます。ペンギンさんと区別するために「飛翔性」なる接頭辞を付けるのですね。

 この航海ではNHKのクルーが4名乗り込んでいます。そのひとり若松さんは、東京海洋大学水産専攻科の学生として、2011年度の南極観測航海に乗船していました。私もその航海に参加しています。学生のころ潜水部で活躍した彼女は水中映像に興味をもち、メディア業界へと飛びたちカメラマンとなったのだそうです。こういった形で再びこの海鷹丸で会えるなんて不思議な感じです。

 私の乗る航海でテレビクルーが乗船するのは2度目です。一度目は専攻科に焦点を当てたものですが、Fテレビ側の都合で残念ながら未放映でした。日本では、日本南極観測事業(南極観測隊)が1956年以降連綿と続いており、今年度が58次隊です。しかし、国民の中には南極観測隊は「タロ・ジロ」の時代に終わっていると思っている方も大勢いると聞きます。ときどき、高倉健さんの「南極物語」、堺正人さん主演の「南極料理人」とかキムタクさんの「南極大陸」といった映画やテレビドラマが作られますが、観測隊ってまだやってるの?という方もおられるわけです。

 興味のある方は砕氷艦「しらせ」についてご存知でしょう。東京出港の際にはニュース報道もあります。しかし、東京海洋大学「海鷹丸」が南極海に毎年のように出かけていることを知っている方は、この日誌をお読みの賢明な皆さんくらいしかいないといっても過言ではありません。われわれ研究者は地球で起こっていること、これから起こるであろうことを知るために、わざわざ毎年ここまでやって来ます。我々の活動やその意義を国民に理解してもらうことは、研究を続ける上でたいへん重要です。

 そこまで理解していただけなくても、へえー、日本が南極の研究なんてやってんだあ、とか、え?南極にシロクマはいないの?とか、真夏でも氷だらけなんだ、とか、少しでも興味を持っていただけたら、この日誌を書いている甲斐があるというものです。難しいことはその次でよいのです、と思って何年もこの日誌を書いてきました。しかし、今回は天下のNHKですよ。(ボツにならなければ)宣伝効果絶大です。若松さん、よい映像を撮ってくださいよ。私も、子離れできないやっかいな「ペンギンさん」の父親役で出演予定です。

(写真:雪が舞う中、大きなマイクをもつブルーの後姿が若松さん)
2017年1月9日(月)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月9日(月)
正午位置: 61゜59.93´S 109゜59.87´E (南大洋)
天候: 雪、 風: SE 11.9 m/sec 、
波高: 3.2 m、 気温:0.6℃、水温:1.8℃
針路:Var. 速力:Var.(観測中)
船内時間:UTC+08h00m

 今日は朝から吹雪の中での観測となっています。気温が0°近くまで下がり風も強いので体感温度はかなり低いのですが、こんな厳しい環境の中でも、乗組員同様、学生はしっかり海洋観測作業員として奮闘しています。観測作業の手順も徐々に覚えてきて皆、頼もしくなってきました。

 一昨日から本船の周囲には多数の氷山が存在していて、大きな氷塊から小さな氷片までたくさん浮かんでいますので、観測中も移動中もかなり神経を使っています。特に今年は例年に比べ、この海域での氷山の数がたいへん多く感じます。
2017年1月9日(月)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月8日
「私たち、いま南極にいます。」

 昨夜は低気圧が通過。気圧は968 hPaくらいまで下がったでしょうか。今朝は急速に上昇し、977 hPaまで回復しています。気圧の上昇は天気がよくなる目安です。これから係留系の設置という大きなミッションが待っているのでありがたいです。この係留系は水深4250 mの海底に設置する全長3900 mの系で、途中多くのセンサーを取り付けてあります。1年後に海鷹丸で回収する計画で、成功すれば流速など海洋物理環境の1年間の動態が分かっちゃう仕組みです。

 数日前から、寒いのに吐く息が白くなりません。息が白くなるのは、息に含まれる水蒸気が空気中の微粒子(エアロゾルといいます)にくっついて目に見えるようになるからです。ここはすでに、オーストラリアなどの大陸から十分に離れていて、このエアロゾルが飛んできません。もちろん、ほとんど氷に覆われた南極大陸でエアロゾルが生じることもないでしょう。地球上にはそんな場所があるのです。近年は各国の基地ができ、観光客も増えた南極大陸ですが、地球上のその他の場所にくらべれば、人間生活の影響をまだまだ受けていない貴重な場所といえます。それだけに、そこで起きている変化は地球の環境変動とダイレクトに関係しているといえます。

 南極を調べることの重要性はそこにあります。南極海でいま何が起こっているかを調べ、そしてこれから何が起こるかを予測することは、海鷹丸をもつ東京海洋大学、そして我々研究者の責務といってもよいのではないでしょうか。

ようやく出ました。南緯60度を過ぎてから急に出てきました。氷山です。61度の観測点は氷山の目の前です(もちろん安全な距離があります)。大陸からだいぶ距離がある(生まれてから時間がたっている)ので形は崩れていますが、上面が平らなことが、大陸の氷河から流れ出た南極海特有の氷山であることを物語っています。私たち、いま南極海にいます。本当ですよ。

(写真:この10分後に真ん中の亀裂から右半分が崩れ落ちます)
2017年1月8日(日)

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