海鷹丸 第50次航海 東京海洋大学  海洋科学部

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海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月18日(水)
正午位置: 63゜30.20´S 110゜18.59´E (南大洋)
天候: 曇り、 風: SE 8.1 m/sec 、
波高: 1.6 m、 気温:0.4℃、水温:2.0℃
針路:090° 速力:10.0Kt
船内時間:UTC+08h00m

 今朝、漂流系を回収し昨日から同地点で継続していた観測を終了して現在、次の観測地点へ向け東に移動しています。今日も風は弱く海上は穏やかですが、周囲には雪雲が点在していて、時々雪が降りデッキを白く覆います。

 南太洋での定点観測も残り少なくなってきましたがこの天候が続くことを祈るばかりです。
2017年1月18日(水)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月17日
「ポルシェと自由主義経済に関する一考察」

ちょっと運がいいだけなのに、「オレ(幸運を?)持ってる」とか「神ってる」と か言いたがるスポーツ選手とか監督がいますが、わたしはそのような浅はかなことは言いません。謙虚に自然に感謝するのみです。

 この航海は私の経験した9回の南極航海のうち、最も海況に恵まれているもののひとつです。海況がよいと観測が比較的予定通り進むうえ、機器のトラプルも起こりにくくなります。予定通り進めば、大きな変更もそれほど必要なくなり、調査グループ間の調整の必要性も減るので、首席の仕事は楽になります。海が穏やかだと燃料の消費量も減り、心配ごとも減ります。皆の表情も明るくなり、ア○ロン(酔い止め、特定第二類医薬品)の消費量も減ります。いろいろ減ります。このまま行くとは思っていませんが、少しでも続くとよいです。

 今朝4時からThe Operation Round-the-Clockがスタートしています。日本語にすると「神ってるぞ海鷹丸 24時間観測大作戦!」といったところです。各種センサーとセジメントトラップ(沈降粒子捕捉装置)を装着した漂流系を24時間流し、その間に漂流系の周辺の生物や物理環境の24時間変化を捉えようという野心的な作戦です。プランクトンネットが3種類、音響観測機器にCTD(採水器付)、これらの観測を、流している漂流系のそばで繰り返し行います。実際には前後含めて31時間観測です。これを書いている時点でようやく12時間過ぎたところです。あと19時間ビールが呑めないということです。

 写真は、ずらーっと並んだ各種センサー類です。研究室で、漂流系に取り付ける準備をしています。これらをすべて合わせると、ポルシェ1台分くらいの額になるでしょうか。ポルシェを冷たい海に24時間流します。それにしても、研究者はどこからポルシェを買う資金を調達するのでしょうか。大学に所属する者としては言いにくいですが、昨今の大学はあまりお金を出してくれません注1)。お金のかかる研究を遂行するためには、競争的研究資金や外部資金なるものを獲得しなくては、とてもポルシェは買えません。今回のポルシェも複数の研究者が資金をかき集めて購入したものです。お金をあまり持っていない人は、私は左の扉だけとか、右の前輪は私の科研費でとか、といった具合。たくさんお金を獲ったひとは、じゃあ私がエンジンを、といった感じです。また、あるときは、うちの倉庫に古いポルシェがあるけど、それをベースに改造してみる?といったこともあります。

 代表的な競争的資金に科学研究費補助金(通称、科研費)があります。年に1度、10月の終わりに応募の機会があり、研究者のほとんどが、研究代表者や分担者といった形で、科研費を争ってプロポーザルを作成します。競争なのでよく知ったあの研究者も自分のライバルになるかもしれません。そのため、山の紅葉が赤く色づくころ、研究者の目は寝不足やライバルに対する疑心暗鬼でギラつきます注2)。

注1) あくまでも一般論です。わたしの場合は大学にはたいへんお世話になっています。そりゃあ、もう。品川に足を向けて眠れませんよ。だんな。今後ともひとつよろしくお願いします。ええ、そりゃあ、もう。

注2) 南極海の生態系研究に特化している限り、そんなことはありません。南極に手を出す研究者はあまり多くないので、良かれ悪しかれライバルが少ないのです。だからといって通りやすいわけではないので、プロポーザル作成のため秋口に忙しくなるのはみな同じです。我々の場合お互い共闘して、プロポーザルの内容がかぶらないように相談することもあります。
2017年1月17日(火)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月17日(火)
正午位置: 63゜29.99´S 109゜59.91´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: SSE 4.1 m/sec 、
波高: 1.8 m、 気温:0.4℃、水温:2.0℃
針路:Var. 速力:Var.(観測中)
船内時間:UTC+08h00m

 現在、天気は快晴で海上は穏やかな中で観測を実施しています。朝の気温は零下となっていましたが、昼前には0度を越えました。デッキで作業する人達にとって太陽の陽射しがとても有難く感じます。

 寒さ厳しい環境の中での観測作業も、何度も海鷹丸の舷側近くまで寄ってくるザトウクジラには皆が癒されています。本日は今朝投入した漂流系の近くに留まり観測を続けます。
2017年1月17日(火)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月16日
「栄養たっぷり」

 1月12日に採取した氷をちょっと見てみました。1月11日と12日に日誌にも書きましたが、海氷の中には微小な植物や動物が暮らしています。それを見るためです。ろ過した海水に海氷を浮かべデッキ上で数日かけて解凍、それを20μmのネットで濾して濃縮したものを観察します。果たして、モニターにみごとに映ったのは珪藻やカイアシ類でした。ただ氷を見た限りはきれいな無垢な海氷ですが、無数の生物が含まれていました。

 きれいな氷だと思って口に入れたらお腹をこわすかもしれません。栄養たっぷりではありますが。なかでも珪藻類は多様で、簡易的な観察では種同定は難しいですが、一見しただけで何種類もみられます。彼らは殻の中に原形質をもち、緑ないしは茶色っぽい色をしており、まだ生きているか少し前まで生きていたことを示しています。カイアシ類もモニターの中で動き回ります。

 氷のなかで暮らす生き物なんて少し想像しがたいのですが、数千万年前に南極海が寒冷化し始めてから、彼らの海氷中の暮らしが始まり、氷が融けた後に海中に放出された彼らを利用する(食べる)生物も現れたことでしょう。彼らはどこで氷に乗っかり(取り込まれ)、どこに行くのでしょうか。地球には、まだまだ私たちの知らないことがたくさんあります。

(写真:左からNHK牧野さん、極地研の真壁さん、珪藻類)
2017年1月16日(月)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月16日(月)
正午位置: 62゜59.98´S 109゜59.94´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: SE 10.0 m/sec 、
波高: 2.8 m、 気温:0.0℃、水温:1.9℃
針路:Var. 速力:Var.(観測中)
船内時間:UTC+08h00m
 
 本日も昨日より東へ移動し観測を行っています。今日は午前中まで風が強く吹雪でしたが、昼には風は弱まり雪も止み晴れ間も見えてきました。海況も回復に向かっていますので、このまま観測を続けて行きます。

 フリーマントルを出港し半月が経ちましたが、学生は皆元気です。
2017年1月16日(月)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月15日
「無念・・・、IONESS倒れたり。」

 IONESS(多段開閉式プランクトンネット、アイオネス)が故障しました。新たな観測ライン(トランセクト)に入ったところでした。遠い南極の海で観測機器のトラブルがあると、これまでの準備が台無しとなりその損失は計り知れません。可能ならばスペアを用意しておき何かあればすぐに交換して対応します。消耗部品もその場で交換できるように予備を準備しなくてはなりません。また、簡単な部品であれば機関部や甲板部にお願いして、部品そのものを現場で製作してもらうこともあります。
 
 IONESS本体と研究室のコンピューターとの通信が取れなくなりました。豊田さんと嶋田さんが中心となり、ケーブル類の断線など原因となりそうな部分をひとつひとつ調べていきます。そして、最後に残された可能性は、現場での対応が困難な電子基盤の故障でした。IONESSはKARE20での生態系研究グループのメインギアでしたが、こうなったらすぐにあきらめるしかありません。他の観測を進めると同時に次善の策を協議します。

 まず、層別のデータはVMPSの追加で対応することに。これも層別採集が可能な開閉式のプランクトンネットですが、もともとIONESSより小型の動物プランクトンを採集するために導入されました。同じ観測点でのVMPSの曵網回数を1回から2回に増やし、1つの観測点から6層をサンプリングすることに。やや大型のプランクトンや仔魚は、層別採集はできませんがORIネットで対応することに決めました。がっかりしている間はありません。旅はまだ中ほどです。

(「IONESSの無念、拙者が晴らさいでか・・・」雪のデッキ。熱い思いを胸に待機するVMPS。)
2017年1月15日(日)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月15日(日)
正午位置: 63゜30.08´S 107゜59.99´E (南大洋)
天候: 曇り、 風: SE 5.5 m/sec 、
波高: 1.6 m、 気温:0.5℃、水温:1.7℃
針路:Var. 速力:Var.(観測中)
船内時間:UTC+08h00m

 本日は昨日の位置から東へ移動し観測を行っています。少しずつ風が強くなってきているのが心配ですが、まだ波浪は小さく観測に影響は出ていません。

 明日以降も東へ移動しながら南太洋調査を続けて行く予定です。今日は朝から大変寒く雪が断続的に降っており、海鷹丸は今航海初めての雪化粧となりました。
2017年1月15日(日)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月14日
1月14日「クジラとバスと日本人に関する一考察」

 ここ南極海で、我々がもっともよく目にする鯨類、ザトウクジラも長い回遊をしています。この海域のザトウクジラは、冬はオーストラリアの西方海域で子育てをしたりして過ごし、夏に南極海に餌を食べに回遊してくるのだそうです。「次は終点南極です」は確かにこの回遊経路を歌ったものですが、年にたった1便しかないバスです。そういったクジラの回遊について、知識を子ども達に植え付けちゃえ、という歌なんですねえ。いろんな意味で、さすが日本人です。しかし、「何時に着くのか分からない」くらいならかわいいものですが、2番には「すごいスピード気をつけろ 昨日居眠り運転で 頭に大きなこぶできた」とあります。最近多発する長距離バスの事故を連想してしまいます。楽しい歌なのですが、人間社会の問題をクジラに背負わせるのはどうかと思うしだいです。

 このザトウクジラですが、日本鯨類研究所の調査結果によると、この十数年の間に、分布域が南に拡がり本来クロミンククジラの分布域である陸棚域の方まで分布するようになっているようです。クロミンククジラはどこへいってしまったのでしょうか。今回、きちんと目視調査をしたわけではありませんが、KARE18で東京海洋大学の谷田部さんらが行った調査の結果も、鯨研の調査結果を支持するものでした。今の段階ではこの原因を特定することはできませんが、何かしら生態系の変化が起こっていることのシグナルかもしれません。
2017年1月14日(土)

海鷹丸第50次航海(遠洋航海)正午位置報告 1月14日(土)
正午位置: 63゜11.00´S 106゜09.67´E (南大洋)
天候: 晴れ、 風: S 4.4 m/sec 、
波高: 0.7 m、 気温:0.1℃、水温:2.6℃
針路:Var. 速力:Var.(観測中)
船内時間:UTC+08h00m

 本日午前中に南緯63°東経106°付近において漂流系を回収しました。この漂流系は昨年「しらせ」が投入したもので海鷹丸が回収を任されていました。本日無事に回収が出来て安堵しています。

 今日も海上は穏やかで氷縁からずっと良い天気が続いていますが、この天候が1日でも長く続き観測が少しでも捗ればと思っています。またこの辺りはクジラが多いようで悠悠と泳いでいる光景をよく見かけますが、最初は大騒ぎをしていた学生たちも今では日常の光景となってしまい、まったく騒がなくなりました。
2017年1月14日(土)

「ペンギンさんそこのけそこのけ海鷹丸が通る6」  1月13日
「弱アルカリな世界を」

 フリマントルを出港して14日目、ちょうど折り返し点です。べた凪、快晴、波高1.2 m、風速2.6 m/s。

 クリオネという生物がいます。オホーツク海などで流氷とともにやってくるので、流氷の天使などと呼ばれるあれです。かれらは広く翼足類と呼ばれるグループで、翼足類は南極海でもみられます。化石燃料の消費などによって増加した大気中の二酸化炭素の影響は、温暖化を通して様々な形で現れていますが、海洋の酸性化も近年注目されるようになりました。増加した大気中の二酸化炭素が海面で吸収され、もともと弱アルカリ性の海水が酸性に傾くことが懸念されています。翼足類の中には炭酸カルシウムの殻を持つものがおり、南極海のリマシナもそのひとつです。リマシナちゃんはクリオネと同じように体の横についた翼状の足を用いてパタパタと泳ぎ回ります。色が黒いので天使とまで言いませんが、動きがちょっとかわいいので学生や乗組員に人気があります。

 オーストラリアチームのひとりChristineは、この翼足類を研究ターゲットのひとつとし、船上での飼育実験を行っています。もし、酸性化が進行すると炭酸カルシウムの殻の成育が阻害される懸念がありますが、その生活史や生態、生態系における役割など不明な点も多くあります。このリマシナは比較的高密度で高緯度域に分布していますが、大型ネットで採集するとたいてい殻が壊れてしまい、飼育実験に用いるのは困難です。飼育実験用の生物を採集するために、採集物のダメージを比較的小さくするための工夫をしたネット使っていますが、やはりランダムに網を曳いてもそう都合よく元気なリマシナが採集されるとは限りません。元気なリマシナを採集するのに最もよい方法は、舷側でタモ網を使ってすくうことです。CTD観測を行うときなど、船尾のプロペラや船首のスラスタを用いて船の位置を保持しますが、そのプロペラの水流で海面からやや下の方に生息しているリマシナが巻き上げられてくることがあります。このリマシナを金魚すくいよろしくタモですくい取ります。根気よく採集すると短時間で何個体も採集することができ、ダメージも小さいです。きょうは20個体採れました。近年、数百万円以上もする機械仕掛けのネットが普通に使われるようになってきましたが、目的に合わせてネットの種類を使い分けることが重要です。きょうのタモ網はよい仕事をしました。

 海洋酸性化がリマシナちゃんの暮らしや生態系に及ぼす影響は、まだ明確ではありませんが、我々の化石燃料の使用が、リマシナちゃんの平和な暮らしを徐々におびやかすかもしれません。

(写真:リマシナちゃんの採集に真剣です。大人なのに。)
2017年1月13日(金)

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