展示解説オーストラリアオオガニ Australian Big Crab

 

オーストラリアオオガニ Pseudocarcinus gigas はイソオウギガニ科 Menippidae に属するカニで、その名前のとおり世界最大のカニです [学名の gigas は“巨大な”という意味]。脚を含めるとタカアシガニにはかないませんが、頭胸甲(とうきょうこう:いわゆる背甲)は幅 60cm、体重で 10kg を超え、脚は比較的短いですが、鉗脚(かんきゃく:ハサミ)は巨大で、脚を広げると 1.5m ほどになります。体背面にはクリーム色の地に紅色の不規則なまだら模様のあるあでやかなカニです。
 本種はタスマニアを中心とするオーストラリア南部に固有の種で、水深
30-500m までの岩礁に生息しています。海底に生息する巻貝やヒトデ、他のカニ類など、活動の鈍い生物を補食して成長し、オスはメスの2倍ほどになり、それぞれ最大で13kg, 6kgに達すると推定されています。特にオスでは右のハサミが巨大化して、甲幅を超えるほどにもなります。メスは10cmほどから成熟が開始し、1回の産卵で50-200万粒の卵を産出します。交尾は冬季(6−7月)におこなわれ、メスは4ヶ月ほど卵を抱えています。ふ化は夏季におこなわれ、卵からかえった幼生は3−4ヶ月間の長期にわたって浮遊生活をおくり、海底に着底すると稚ガニに変態します。成長のための脱皮の間隔は非常に長く、オスで2−3年、メスで5−15年と推定されています。
 オーストラリアではかご漁で年間
20-25トンが漁獲されていますが、おもに国内で消費されて、日本に輸入されることはまれのようです。

 
オーストラリアオオガニ剥製標本(左手前 オス個体;右奥 メス個体) 水産資料館 所蔵

[_土屋光太郎_]

参考文献
Agriculture, Food & Fishery Division of Primary Industries & Resources (2003) Ecological acessment of Australian giant crab (Pseudocarcinus gigas) fishery. South Australian fisheries management series. Adelaide, 45p.
武田正倫 (1999) エビ・カニ類.食材魚貝大百科1.平凡社、pp.5-58.


タカアシガニイセエビ類/オーストラリアオオガニ
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コラム:

口絵、挿絵:オーストラリアオオガニ展示標本(部分) 水産資料館_

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